社会保険の扶養 130万円の壁が崩壊へ
先日、政府はパートで働く人たちの社会保険加入について、企業規模の条件を撤廃する方針を固めたと発表しました。
早ければ、2026年から全事業所・個人事業所でも106万円の壁を超える短時間のパートの方も社会保険に加入することになりそうです。社会保険料の納付は、企業も従業員も大きな負担となってきますので、130万円の壁が崩壊する背景や影響をお伝えします。
1)130万円の壁が崩壊する背景とは?
2)130万円の壁とは?
3)106万円の壁とは?
4)106万円を超えて加入する例と社会保険に加入するメリット
5)小規模法人・個人事業所・業務委託・フリーランスも社会保険加入へ
6)その影響とは?(社会保険料は事業主と従業員が15%ずつ折半)
1)130万円の壁が崩壊する背景とは?
まず、社会保険を納める年収のボーダーライン(社会保険の扶養の壁)には、次の3つがあります。
①106万円 ②130万円 ③180万円(60歳以上の配偶者や被扶養者の場合)
年収が130万円未満であれば、会社員の配偶者の扶養に入ることができ、健康保険も国民年金に無料で加入できます。
そのため、人手不足が進む中、働くことを控えているパートの方たちが多いのです。
また、年金制度は支えあいの制度なので、支えていく人を増やすため、社会保険に加入する人を増やしています。
それが106万円の壁で、2024年10月~は、従業員51人以上の企業では、年収106万円を超えるひとは社会保険に加入になります。
また、氷河期世代(40代)以降はパートの方が多く、老後にもらえる年金が少ないため、社会保険に加入して将来もらえる年金を増やすという目的もあります。
2)130万円の壁とは?
年収が130万円未満であれば、会社員の配偶者の扶養に入ることができ、健康保険も国民年金に無料で加入できます。
社会保険料は月収の約15%で、おおむね年収150万円までは手取り額が減ってしまいます。そのため、働き控えがおこり、人手不足につながっています。
130万円には、残業代・通勤手当・賞与も含まれます。
3)106万円の壁とは?
■現在は、101人以上の企業で働く、以下の①~④すべてに当てはまるパート・アルバイト等は社会保険加入となります。
月8.8万円×12月≒106万円の壁と呼ばれています。
①週の所定労働時間が20時間以上
②所定内賃金が月額8.8万円以上(基本給及び諸手当・残業代や通勤手当・賞与等は含みません)
③2ヶ月を超える雇用の見込みがある
④学生ではない
社会保険に加入する人を増やすため、今後は以下のようになります。
■2024年10月から 51人以上の企業で働く人
■早ければ2026年から 1人以上の企業で働く人
4)106万円を超えて加入する例と社会保険に加入するメリット
■加入例(従業員51人以上の企業)
年収120万円のパートさんの場合(静岡県在住 35歳)
<2024年9月まで>
社会保険上の扶養は、年収が130万円未満なので、旦那さんの扶養になり、社会保険料を払わなくても、健康保険に加入することができます。また、将来の年金を計算するときには、国民年金保険料を納付した期間として扱われます。
<2024年10月から>
社会保険に加入すると健康保険料 月4,826円、厚生年金保険料 月8,967円が給与天引きされ、年間では165,516円になります。
社会保険料は月収の約15%なので、おおむね年収150万円までは手取りの逆転現象が起こります。
*年収150万円を超えて働くことがオススメです。
■社会保険に加入するメリット
・老齢年金・障害年金・遺族年金で国民年金よりも増額して受け取れる
・傷病手当金や出産手当金も受けられる
働き方によっては、手取り額が減ってしまう可能性がありますが、社会保険に加入するメリットもあります。
仕事と子育て・介護の両立など、働き方を見直すいいきっかけにしていきたいですね。
5)小規模法人・個人事業所・業務委託・フリーランスも社会保険加入へ
■現在は
・5人未満の個人事業所
・5人以上の個人事業所でも、 飲食業・美容院・宿泊業・農林水産業 は加入しなくてもいい
↓
早ければ、2026年から社会保険加入になります。
6)その影響とは?(社会保険料は事業主と従業員が15%ずつ折半)
社会保険料は事業主と従業員が15%ずつ折半で支払います。
今まで加入していなかった飲食業や美容院・宿泊業・農林水産業にとって社会保険料の納付は、大きな負担になります。
今から働き方の見直しや人財確保の準備をしておきましょう。
社会保険どう変わる?①
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