【2025年10月】人財定着・採用力アップへ 育児期の柔軟な働き方と個別の周知・意向確認義務化

育児介護休業法と次世代育成支援対策推進法の改正が2025年4月と10月に施行されました。
子どもの年齢や従業員本人の多様なニーズに応じ、柔軟な働き方や残業をしない働き方を選べる制度が拡充されています。
10月からは「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置等の義務付け」と「仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務付け」の2つの義務化が施行されていますので、ご紹介いたします。

■2025年4月と10月に施行された8つのポイントは次のとおりです。制度や周知は整っていますか?
①子の看護休暇の見直し
②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
③育児・介護のためのテレワーク導入の努力義務化
④育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に拡大
⑤介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
⑥介護離職防止のための雇用環境整備・個別の周知・意向確認等
⑦柔軟な働き方を実現するための措置・個別の周知・意向確認
⑧仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

10月から施行されたのが、⑦柔軟な働き方を実現するための措置・個別の周知・意向確認と⑧仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮です。

■柔軟な働き方を実現するための措置・個別の周知・意向確認とは?
3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者が、柔軟な働き方を活用しながらフルタイムでも働ける措置も選べるようにするためのものです。
事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下5つのうち2つ以上の制度を設けて、労働者は、その中から1つを選択して利用することができます。
*事業主が制度を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

選択する制度
① 始業時刻等の変更
② テレワーク等(10日以上/月)
③ 保育施設の設置運営等
④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇
(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
⑤ 短時間勤務制度
*②と④は、原則時間単位で取得可とする必要があります。

そのうえで、3歳に満たない子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は選択した制度について、周知と制度利用の意向の確認を、個別に行う必要があります。


■仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮とは?
妊娠・出産の申出時と、子が3歳になる前の適切な時期の2回にわたり、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、個別周知・意向確認が義務化となりました。


また、聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮しなければならない。とされています。


■まとめ

これまでの制度は「育児休業を取得しやすくすること」が中心でした。
しかし今の流れは、子育てや介護と仕事を両立できる環境を整えることで、人財定着採用力アップ企業価値向上へとつながる大きなチャンスとなっています。

法改正に沿って、育児・介護休業、子の看護等休暇や介護休暇、時間外・深夜労働の制限、短時間勤務制度などを就業規則に明記することは不可欠です。

さらに、単なる規程の整備にとどまらず、管理職や従業員への浸透や、誰もが安心して制度を活用できる職場づくりに取り組むことで、社員の働きがいと働きやすさを高め、結果として会社の生産性と業績向上にも直結します。
制度設計から現場での運用まで、一緒にサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。

■参考サイト
育児・介護休業法 改正ポイントのご案内/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf