学生アルバイト 社会保険の扶養ライン150万円へ

2025年の税制改正により、大学生などを対象とした「特定扶養控除」の年収要件が、これまでの103万円以下から150万円以下へと引き上げられます。
これに伴い、19歳以上23歳未満の人の健康保険の認定対象者の年間収入に係る認定要件も2025年10月から変更の方向が示されましたので、分かりやすく解説いたします。
(1)社会保険の扶養ラインとは
①106万円の壁
②130万円の壁
(2)特定扶養控除とは
(3)今後の学生アルバイトの社会保険の扶養ライン
(1)社会保険の扶養ラインとは
現在の社会保険の加入要件は
①106万円の壁
適用事業所で働く正社員の方や、パート・アルバイトでも、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である人は自分で社会保険に加入することが必要になります。
そして、週所定労働時間等が正社員の4分の3未満であっても、以下の要件を満たす人は、短時間労働者として加入対象となります。
a 週の所定労働時間が20時間以上あること
b 所定内賃金が月額8.8万円以上であること(賃金要件)→いわゆる106万円の壁
c 学生でないこと
d従業員数51人以上の企業で勤務している(企業規模要件)
そのため、従業員数51人以上の企業で勤務しているパート・アルバイトは、週所定労働時間が正社員の4分の3未満でも、上記の要件をすべて満たすと社会保険の扶養から外れ、自分で社会保険に加入することが必要になります。
②130万円の壁
家族の扶養に入って働く人(主にパート・アルバイト)が、年収130万円を超えると、扶養から外れ、自分で国民健康保険・国民年金に加入しなければならなくなる、という基準のことです。
収入が一定額以下の場合は、手取り収入が扶養から外れる前よりも減ってしまいます。
この130万円には、残業代や賞与なども含まれるため、扶養の範囲内でいるかどうかという判断に当たっては注意が必要です。
(2)特定扶養控除とは
特定扶養控除とは、「税法上」で、19歳以上23歳未満の大学生や専門学校生などを扶養している家庭が対象となる所得控除のことです。
教育費がかかる時期の家庭を支援するために設けられた制度で、控除額は所得税で63万円、住民税で45万円です。親元を離れて暮らしていても、生計を一にしていれば対象となります。
これまでは、子どもの年収が103万円を超えると適用外となっていましたが、2025年からは150万円まで認められるようになります。
(3)今後の学生アルバイトの社会保険の扶養ライン
「税法上」の扶養ラインの変更に伴い、19歳以上23歳未満の人の健康保険の認定対象者の年間収入に係る認定要件も2025年10月から変更の方向が示されました。
具体的には、年間収入に係る認定要件の額が現状130万円未満であるところ、当該認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円未満として取り扱うというものです。
今後は、学生アルバイトの社会保険の扶養ラインは年収130万円未満から150万円未満になる方向です。
現在、これに対する意見を募集しており、その意見を踏まえて確定される予定です。